福家警部補の挨拶感想 - かわいくて斬れない
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福家警部補の挨拶感想

 GWなので今更ですが自分なりに福家警部補の挨拶を振り返ってみたいと思います(動機が個人的)
 誰が誰を殺したかという事実が先に分かる倒叙ドラマでありつつ、動機やトリックに纏わる犯人の心の動き、被害者は何を思っていたか等は後々になって分かる…というやり切れなさが約束されたような構造は非常に私好みでした。
 このドラマの中で、最大の謎は福家という主人公だったと思います。
 開始当初からうっとおしいとか可愛げがないとか警部の言う事の方が正しいじゃんとか匿名掲示板wを覗いたりすると散々な言われようだった福家警部補。どうしてそこまで殺人犯逮捕にこだわるのか? その裏にある感情はただの正義感なのか? だとしたら何故そんなアウトローなやり方をしてしまうのか? 掴めないキャラクターにモヤモヤとしたものを抱える人も少なくなかったんだと思います。
 ドラマが終わって今ようやく分かるのは、彼女のいじらしさ。そして素行のダメさと鮮やかな推理の裏に隠れた、本当の欠点。愛想もなく淡々としていたその内実にひどく人間らしさが見えて、個人的には福家というキャラクターがとてもお気に入りになりました。

 各話を振り返ってみますと、まず一話。盗作の証拠を持っていることをかさに強請られていた人気作家は、脅迫者を殺害し、さらに何も知らない新人俳優を完璧なアリバイを作るための駒として使い殺害。しかし福家の目敏さにより記者会見ギリギリで御用に。
 計画は完璧だった、しかしたった一つの失敗で全てがダメになる…ジェンガと同じだ。俺には見えなかった、と自らの迂闊さだけを悔いる犯人に、福家は険しい表情で告げる。
「世の中に完璧なんてありません。だから……人は人を殺すんです」

 最終回で明かされた福家の「秘密」とは何だったかをまず言えば、「自らも殺意を抱いたことがあること」だったんですよね。言葉だけ聞くと、えっそんなこと?と拍子抜けしてしまうようなシンプルな理由。しかし福家が抱いた殺意は、行動に起こさなかったのが偶々そうであったほどの肉薄した殺意だったんでしょう。それは未だに福家の中に燻っている。
 経歴から見ても、神経質なほどの目敏さと聡明さを見ても、福家の性格は元々完璧主義的な一面がありそう。物の整理や身だしなみが苦手でも、性格そのものは潔癖という感じがします。居るじゃないですかそういう人。(理解を他人任せにする説明)
 最終回冒頭で読み上げられた警察官の訓示、福家は警察になる時まさにそういった人間たらんとして入庁したはずです。そして、やるならば全力で。そうでなければあそこまでの戦地を転々とする事などそもそもしないはず。
 しかしそこで福家の正義感は破壊されてしまった。現実では正義とは多数決であるという事がままありますが、福家の生きてきた世界には死や殺人がひどくありふれていたんでしょう。何故そんな事をするのかという疑問すら摩耗し、ただ殺されていく事実を数えるだけの地獄。その中で殺したいという憎しみを根強く抱いてしまった。
 ただ福家には殺せなかった。おそらく福家の疑問はここで、「何故殺すのか」から「何故殺せないのか」にシフトした。それこそが正義だと、そして福家はその自分の中に見つけたちっぽけな正義に“縋って”きたのだろうなと思います。
 殺人を犯すか犯さないか、殺意を行動にするかしないかの一本の境界線。そこを越えるか越えないか。福家は絶対に越えないと思っているから殺人者を糾弾しているのではなく、その境界線上に立っているからこそ糾弾する必要があった。
 福家の最後の言葉は説教ではなく戒めだったんですね。他人事ではなかった。

 二話では、自分の大切なものを取り上げられそうになったから殺した、あいつは私を憎んでいたからと発狂する女性漫画家に「憎しみに囚われていたのは、あなたです」と一喝。
それでいて、三話では殺人の証拠を燃やそうとして燃やせず涙する犯人に眉を顰め「どうして」と呟く警部へ、「愛です」と悲しそうに答える。
憎しみに囚われた結果の殺人、しかし愛から殺人を犯すという事実もあり。その全てが福家にはひどく実感を伴ったものとして目の前に現れていたんだろうなと、見返すと思いますね。

 福家が犯人逮捕への迷いを見せた四話。同じ女としての共感をもって、谷本さんと親しくなってしまう福家。
 一番大切なもののためにその他のものを犠牲にしてきた、その結晶が出来上がる。その価値をあなたなら分かるはず、と言われ黙りこんでしまう。
 別れた後、その結晶である酒を眺めながら夜警察署で考え込んでいると、その後ろに無言で突っ立っている警部。気づいてぎこちなく起立する福家に、淡々と「自由奔放な部下だとは思っていましたが、ついに職場に酒まで持ち込むようになりましたか」と一言。こwwwwわwwwwいwwwwww
「これはですね……っ」「上司との食事会は、明日なのですが(強調)」「言われた書類は、全て出しました」「おかげでこんな時間まで目を通す羽目になりました」か、勝てない…!!
 そういえば基本福家が警部に口で勝ってる事ってないような。いつも言い逃げで自分の意見を言い、それを警部が聞き入れてやってる感じでw 説得出来るだけの証拠とかがいつもギリギリまで揃わない分仕方ないといえば仕方ないんですが、一話の「袖が長いんです」くらいですねちゃんと言った感があるのは…でもそれも記者会見を明後日に控えた時点でのことで、警部の顔に「今言うんじゃねえよ」感がすごい出てましたけど。
 目を通した報告書に、「でも、まだ一件足りません」と警部。
「どういうつもりなんです。事故にせよ事件にせよ、既に結論は出ているのでは?」
 ハッとする福家。この問いかけ、警部は福家の能力だけは評価しているんだろうなということが伺えます。それに今回は「君を呼んだ覚えはないのですが、今回の件は君に任せましょう。どうぞご自由に」って言っちゃいましたからね。自由にさせてくれてる感があります。
 その自由にさせてくれた理由が、酔っぱらいが嫌いだから、っていうのがまたね。捜査会議で問題ない所は「いいんじゃないか」で流したり、無駄にテンションを上げなかったり、力を抜ける所は抜いてる所が警部のデキる男たる所以なのかなと思います。福家のこともけっこう臨機応変に使ってるし。
「顔でも洗ってくるんですね。前にも言いましたが、僕は酔っぱらいは嫌いなんです」
 言い捨てて去っていく警部。ツンデレだ! ツンデレだあああー!!!(立ち上がる)
 酔っ払い、には色んな意味が篭ってると。どうすりゃいいか分かるだろう、という福家への発破だと思います。それに後押しされ、酒屋へと再び足を向ける福家。なんていい上司なんだ…結婚してくれ…

 福家は再び谷本さんと対峙し、「最初から私のこと疑ってたんだ」と言われ俯く。「私、あなたのこと友達になれると思ってたのよ」に「私もです」と答えた。すると駆け寄り、「お願いがあるんだけど」「何も気づかなかった事にしてちょうだい」と頼み込む谷本さん。
 女だからという理由でしなくてもいい苦労を沢山してきた、父から受け継いだこの蔵を絶対に守らなければならなかったのと。それに対し「自分は、一刑事です」と福家。
「違う、あなたは女よ。私と同じ……そして友達なのよ、私たち」
「谷本さん……私にとってあなたは……、一殺人犯です」
 つらい(確信)
 女ってなんでしょうね。竹の塚歌劇団みたいな問いですが。女だけど大切なものの為に頑張ってきた、っていう自分の主張を、「あなたは私と同じ女だから見逃してくれ」っていうのは裏切ってると思うんですよ。
 福家にも譲れないものがあって、その正義をどちらも譲らなかった。結果谷本さんは負ける。殺人はいけない事だからです。しかしそれは断罪のためというよりは、罪であるという事実を守るために行うような危ういもの。
 その福家の必死さを、きっと谷本さんは分からない。福家はそれを分かってもらおうとするほど心を開けないままだったから。分かった所で譲れるものではなかったんですけど。

 五話では福家が感情的に犯人に怒ってました。やるせなかったんでしょうね。本当にやるせない話でした。話としては二番目に好きです。
 何であいつは証拠品を捨てろ、なんて最後に言ったんだと呆然と呟く犯人に、泣きそうな顔をして「誰よりも長く一緒に居たのに……結局あなたは最後まで、内海さんのことが理解出来なかったんですね!」と責める福家。
「内海さんは、天才だったわけではありません! ……あなたの相棒だったんです!」
 この時だけ福家の表情で終わるんじゃなくて、何とも言えない板尾さんの表情で終わるのがもうね。泣く。
 この事件だけは、あともう少し何かが違ったら殺すことなんて無かったんじゃないか…って要素が強くて悲しい。やっぱり殺人はいけないですよ…(戒め)

 そして少し福家の核心に近づく六話。
 撮影と知らず颯爽と暴漢をなぎ倒し、周囲へ「人が暴力振るわれてるのに何やってるんですか!」と怒りを見せる福家。すごい剣幕です。
 それについて犯人である小木野マリは、「あの時あなたは本気で止めようとした。本気でね。命がけの気迫のようなものを感じたわ。傍観している周囲への怒りも含めて。あなた……過去に何かあったでしょう」と分析。演者だけあって人をよく見ておられる。理不尽な暴力を受ける人、それを止めない周囲という状況は福家のトラウマを呼び起こすものなんでしょう。
「普段は喜怒哀楽も知らないようなしゃべり方してるけど、あなたには強くて激しい感情があるのよ。そして、そのどちらも本当のあなたでしょう?」
 美女同士の妖しいやりとりに萌える…のは置いといて、その二面性が福家という女性の特徴ですね。そうあるべきだという責任感とそうあらなければならないという脅迫感。そしてそうあって欲しいという希求。淡々とした態度の中に、不意に強い感情でそれが現れる。

 小木野氏の本当の目的を見抜いた福家は、あっさりと出頭を受け入れ拘置所に入った小木野さんへの面会で説得を試みました。
「世界には親が誰だか分からない子供たちがたくさん居ます」
「あなたがやるべきだったことは、殺人を犯し写真を処分するなどということではなく、母親として正面からリカさんの更生を手助けすることだった」
「今なんです! 本当にリカさんに助けが必要なのは……母親として、娘を助けるべきなのは」
 しかし必死の説得も虚しく、小木野氏は結局最後まで母親であるということを認めてはくれなかった。
 三分経ちました、と背を向ける福家に、それでも立ち上がり「まだ話は終わってない」と引き留め「私は死ぬまで女優なのよ」と涙を流す小木野さん。谷本さんもそうですが、譲れないものがひとつあって、それを諦められない頑固さというか浅ましさというかいじらしさというか。その辺が共通してますね。女性の殺人犯と福家が、という所がミソです。その最たる所は最終回ですが。
「わかりました。いつまでも演じていてください」
 突き放した言い方でEDへ。この後小木野さんが心変わりをするかどうかは分かりませんが…。
 しかし殺された女はとんでもないヤツです。ネチネチとした嫉妬心もくだらなければ、若い娘を薬物の世界に引きずり込むその性根。漫画家の時もそうですがベターっとした関係を築く女性というのはマジ勘弁ですね。殺すのはもちろんいけませんが殺させるような人間性も罪です。悪いことはやめましょう(戒め2)

 七話・八話は唯一の前後編・オッカムの剃刀。
 巷を賑わせる連続強盗犯がとうとう殺人を犯し、警察の威信をかけた捜査に全力であたる刑事達。現場をいつも通りのマイペースさでポラノイドで撮影する福家に、田所さんもいつもより激しい小言を垂れますが警部はノーコメントで放置。前回の小木野マリの事件で警部はとんだ大恥をかかされた訳ですが、「事件が解決すればそれでいい」という言葉も間違いなく嘘ではない。ただ自分の築き上げてきたやり方とは全く相容れないし、そのやり方に対する矜持とか自負もある。
 福家vs犯人では、やり方も目的も真反対だからある意味通用していたという面がありました。何であれ悪いことは悪いですから。しかし同じ正義を目的とした時、福家と警部のどちらのやり方が正しいかというと…意見がパックリ分かれてた所ですね。警部正論すぎる派と福家が居なきゃ事件解決してねーじゃん派で大体二分されてた印象? この何ていうんですか、正義に対する思想のぶつかり合いのバランスを、主人公贔屓にしてない所がすごくこのドラマの良い所だなって。ストイックな姿勢が。完璧な正義なんてそれはもう正義じゃないっていう矛盾をきちんと描こうとしているように感じます。
 捜査は難航し、言いにくそうに田所さんが増員を申し出る前に、既に増員を要請している事を伝えて的確な指示を出す警部マジイケメン。
 福家くんは?と尋ね、「昨日から何の報告もない。こんな時に何をしてるんです彼女は」と静かに苛立ちを見せる警部。勝手な行動をとる福家ですが、能力はある。報連相さえしていればとりあえずは良い、辛うじて連携はとれる、というギリギリの譲歩を破ったり破らなかったりしてきた福家ですが、今回は流石に警部もマジギレです。
 思えば一話は「袖が長い」で一応記者会見までに何かぶっこんでくるかも、というのは承知してて、二話は「良い訳ありません」ってイラァ…としてて、三話は男子トイレに特攻してきたから承知して、四話は任せたからまあ許して、五話は「違う書類にサインを」で「……は?」つって多分呆れて放置して、六話はマネージャーから来た苦情で注意したら根拠無しのまま「刑事生命かける」って言うから「それこそ自殺行為ですよ」と揶揄したらその後報告なしでいつの間にか自首引き出してて真顔、っていうあまりにも散々な上司部下のメモリー。

 それでも福家無しで何とか今井のかつての住居に辿り着くも、一ヶ月前に出払った後。もっと人数が必要ですね、と言う警部に「いえいえ、これ以上は。……警部が、犯人逮捕に尽力されていることは皆重々分かってます。上からの圧力も相当なものでしょうし」と気遣う田所さん。その言葉を遮り、「我々の任務は、次の犠牲者を出さないために何としても犯人を捕まえることです。……何としても。私の心配など必要ありません」…カーッコウィ~!
 しかし田所さんを見送り、ぐっと正面を向く表情はひどく追い詰められた目をしていてなんかもう抱きしめたいのであった。こんな耽美かつ男前な上司がいて署内の風紀は大丈夫なんでしょうか?(必要ない心配)
 増員するほど調整も必要だし人件費もかかるし上からは嫌な顔されるんでしょうね。ただでさえ何してるんだ早く捕まえろってせっつかれてるのに。申し出る度に警部は一人で責められ詰られて…ああ…
 そんな中でよりによって科捜研の神様に福家が連絡無しで付き纏っている事を、おそらく警部はクソ忙しい中突然呼び出されて「一体貴様は何をしてるんだ」という偉い人からのお叱りを受けて寝耳に水の罵声を浴びせられ知ったんだろうなあと思うとなんかもう可哀想。これは警部怒っていい。まあ実際犯人だし福家の読みは外れてなかったとしても相談なしはひどい。ていうか警部が一から十まで正論を述べたので言うことがない。
 というわけで「全刑事全警官が不眠不休で今井の行方を追っています。それなのに君は何をやっているんです」と質問しても「今井と柳田教授の間に何か因果関係は」と質問返ししてきた福家警部補にとうとうブチ切れた警部。
「お前は何をやっているのかと訊いているんだ!!」で書類バサァーやって見ていた私も思わず居住まいを正したよね。
「これまで散々好き放題やらせてきた、そのせいで俺も散々叩かれてきた」と思わず素の一人称「俺」が出てきた所にドキッとしました。「僕」も「私」も言ってる警部ですが、素は「俺」なんでしょうね。結構男っぽい人だししっくり来る。ふと思いましたが六話で福家が犯人に言われた、普段は喜怒哀楽も知らないような喋り方してるけど強くて激しい感情が~って言葉は警部にもそのまま当て嵌まるような。
「お前がやっている事は、捜査ではなくて単なるワガママに過ぎない!」
「事件を解決しようと思ってるのが自分一人だけだと思ってるのか!?」
「お前の思い上がった主義主張なんて要らない! 必要ない! これ以上勝手な真似は許さない!!」
「いい加減にしたまえ……福家警部補」
 ウワァァ…(正座)いきなり迫力あり過ぎてこの激怒シーン見てると心拍数が上がります。
 仰っていることは全く正論で、福家のしている事というのは独り善がりな、自分のための正義という側面がある。でもそれを、警察官失格なんですと申告するほど自分でも自覚している。だからこそ理解してもらうことを蔑ろにして単独行動に走ってしまう、という負のスパイラルが発生しているような。それは間違いなく福家の弱さです。
 警部としては事件を解決したいという気持ちは福家と全く同じで、それを全く違うやり方で遂行できる福家の能力が羨ましくもあり、だからこそ「事件を解決しようと思ってるのが自分一人だけだと思ってるのか」という憤りが出てくる。
 組織の一員であることを自覚しろ、という警部の叱責はまったくの正論です。
 そしてその流れで、今井が死体で発見されたという報告が警部の携帯に。福家は翌日訪れた大学正門前で、柳田教授に謝罪を要求され、頭を下げるのでした。福家のプライドはズタボロです。

 そしてリベンジの後編8話。これはもう警部かっこいいしか言えることがない。警部かっこいい。
「やはり君はあの時責任をとって刑事をやめるべきだった」という柳田教授に、「これが私の責任のとり方です。事件を解決するということが」と返す福家もかっこいいけどそれ以上に「部下がまた不始末を起こしているようなので、上司として責任をとっただけです」という警部がかっこいい。
「重ね重ね、私の部下がご迷惑をおかけしまして申し訳ありません」謝る時この世の終わりのような顔をしていた福家に対して非常にスマートに謝る警部という対比も面白いですね。柳田教授に事件当日のことを訊く時の「これは失礼しました」もまったく冷静でした。これが叩き上げの実力なのか!
 結局警部は、無理して全員と同じことしなくていいから報連相だけはちゃんとしろ。事後連絡ダメゼッタイ。という元々の方針を強化する方向で福家対策はひとまず落ち着かせたようですね。実際捜査内容まで足並みを揃えさせることは、福家の能力を殺すことだという事は警部も重々把握しているんでしょう。
 その上で、自らの組織力を使い15年前の資料を探し出してきて「大抵のものは見つかるんです。警察が本気を出せば」の一言で片付けてしまう警部のイケメンさが留まるところを知らない。結婚してくれ。

 9話はテンポのいいコメディチックな密室劇でした。頭のおかしい人扱いされる福家萌え。
 一番クソ笑ったのは手拭きながら「なんですかいきなり」「証拠を消さないでください!!」「汚れてるから軽く拭くだけよ」ってしんみり返す室井さんです。声出してワロタ。
 福家が仕事を終えて殺人現場に居合わせている中も、夜残って取り調べ中の警部。お疲れ様です!!
 前の上司がチョームカつくヤツだったんすよぉー、みたいな男に「気持ちは分からないでもない。その上司の気持ちがです」とクールな瞳で言ってのける警部が無駄に美しい。取り調べられたい。
「僕にも一人、非常に面倒な部下がいましてね。しかし今夜は気分がいい。今日は珍しく、その部下が何も問題を起こさずに帰ってくれた。……久々の平和な夜ですよ」
 警部かわいそう(号泣)まさに今その部下が容疑者Dになってるのに(号泣)
 警部の取り調べで分かっていく事実と、密室の状況が交錯していく演出がミステリーっぽくていい感じです。
 結局殺された森本医師はとってもいい人でした。研修医はドクズです。「自分が誰を殺したのか、本当に分かってるんですか」という福家の言葉が重い。「もしその電話に気づいていれば、こんな事は起きなかったんではないですか」という警部の言葉も。
 駆けつけた警部が颯爽と警察手帳を取り出し、福家の身元を「福家警部補。刑事であり、私の部下です」と証明してくれたのを何とも言えない表情で見つめてるのが若干ニヤニヤしました。
 そして「警察手帳は常に携帯すること。警察官の常識です」と窘めた後、「福家くん。君の経歴を調べました」と福家が赴任した国名を淀みなく諳んじる警部。
「キャリアとしてはエリートコース。しかし、二年前に自ら希望を出し捜査一課にやってきた」
「何故君はここにいるんです。捜査一課で何をしようとしているんです」
 か、かっこいい…(警部が)

 その終わり方に引き続くように10話の冒頭は警部の福家についてのナレーション。いい声やで…
 内容はこれまた悲しい話でした。殺し方としては一番血なまぐさいですね。田所さんがオエーなってるので今回は任せてもらえる事になった福家。
 今回はどことなく強引さが目立っていました。それは傷付いたヒナちゃんの姿に、過去に出会った子供たちの姿を重ねたからなのか。
 そんな中二岡くんに声をかけて、「君。食事はもう摂りました? 良ければ一緒にどうです」と微笑混じりに誘う警部。ファッ!?
「けっ、警部とご飯!? ぜっ是非! 寿司ですか、肉ですか!」とテンションMAXな二岡くんに、屋上で「どうぞ、遠慮せずに」とそっと置かれたカロリーバー。ふwざwけwてwんwのwかwwwww
「いただきまっす」の後の「わーい(棒)」がいい味出してます二岡くん。
「あのー僕何か問題起こしました? これって取り調べですか?」と思わず訊いてしまう気持ちもわかります。カロリーバーってあんた。
二岡くんの質問に、本題へ入る警部。
「君は何故、いつも福家くんと一緒に居るんです。彼女に何か弱味でも握られてるんですか?」ひどい言いようwwwしかし二岡くん本人にも何故かは分からず。青春やで…
 警部も彼女のことが分からないとぼやく。着実にエリートコースを歩んでいたのに承認を拒否して捜査一課にやってきた。訊いてもはぐらかされましてね、君なら何か知っているのでは、と。
 望む情報が得られないと分かり、さっさと立ち上がって去ろうとする警部。それを引き止めた二岡くん、「警部はどうしてそんなに福家さんのことを?」
「……福家さんと付き合ってるんですか?」
「……ハァ!?」
 うわああああ呆れ返った警部の「ハァ?」萌えるうううう^^^^^
 二岡くんはこの発言で警部にアホ認定されてしまったことでしょう。しかしいい質問をしてくれた二岡くん。ありがとう二岡くん。

 その後本庁で慌ただしく出て行く福家の姿を見かけた警部は、ロッカー室に入り案の定だらしなく開きっぱなしのロッカーを発見。
 仕方なしに閉じようとしたら何かが挟まっていて閉じない。それを取った所バサァァと大量の写真が落ちてきて立ち尽くす警部なのでした。ちょいちょい可哀想ですね警部ね。
 それを不可抗力で拾うついでに目を通すと、そこに写るのは戦地の子供たち、そして一緒に写り笑う傷だらけの福家。

 一方福家はヒナちゃんが自殺未遂しそうになった所を止め、事件の核心へと迫っていました。
「あなたが何を守ったというのですか。彼女に沈黙を強いて、偽りの罪を背負わせ、死まで覚悟させた」
「あなたはあの時、守ったのではなく殺したんです。ヒナさんの心を」
 厳しい言葉を父親に投げかけます。ただ、「あの時抱きしめるべきだった」と、殺人自体をすべきではなかったと言っていない所がミソだなあと。
 なりふり構わずそこに凝り固まっているわけではないんですよね。殺す殺さないの、引き算で残った部分を大事にしているというか。全然わかんないですねすみません。

 そして福家警部補の処分について何かを決定した警部、ドラマは最終話へ。ゲストはなんと八千草薫さん。
 もうこの最終回が一番好きな話です私は。まあ今までの積み重ねの部分があるからですが。
 これまでも、ともすれば犯人の方の肩を持ってしまうような事件が多かったですが、それでも殺人はいけないことだと最後に強く思える何かがあった。例えば巻き添えで死んだり罪を被せられる人であったり、目的に対しての手段の非正当性であったり。
 しかし最後にきて、ずっと保ってきた福家の正義がともすれば負けてしまうような、重い思想を持った殺人犯が現れた。少なくとも私にとってはそうです。
 だって最後に生き残った男、あいつが一番の悪人でしたよね。罪のない赤子を何の罪悪感もなく殺した事を自慢気に笑って話す人間です。それを見てじっと表情を固くした老女の内に燻る感情を私だって持っています。なんでよりによってこいつが生き残るんだと、今でも思わなくもない。フィクションですけどね。
 福家が何も言い返せなかった、老夫婦の娘が殺された痛ましい事件。誰も助けてくれず、絶望の中何よりも大切な娘の命が目の前で悪漢によって惨たらしく奪われた。そして勝手に男も自殺してしまった。
 絶望的な話です。可能性のあることは実際に起こるのと同じことで、現実にはこれ以上に陰惨な殺人事件だって沢山あります。その犯人が逃れていたり、軽い罰しか受けていないと知った時の憤りは、いつの時代もどんな社会にもついて回るものなのかもしれません。
 それは正義感から来るものではなく、結局は憎しみです。それでも許すことは出来ない。許していたらまた次の犠牲者が出る、それが例え結果論だとしても、罪には罰が必要になる。刑罰の意味と目的の中には被害者及び社会の感情的修復、つまりは応報という価値観が含まれます。人間の感情は罪を許せない。
 しかし福家は老夫婦と会話を交わし、その悲壮さに一度は言葉を失い、それでも「信じている」と遠くの道から夫婦に向けて叫びました。主語のない拙い説得。
 警部と家に赴き、初めて吐露したその過去と心情。
 人を殺したいほど憎み、そしてそれは今も消えない。しかしどうしても行動に移せない。
 その理由として挙げたみかんの話が、ひどくちっぽけで些細な事だけど、実際私も見てて「いいとこあるな」と思った部分だったのでハッとさせられました。
 どんな悪人でも人によっては美点足りうるものを持っている。一人の感情でその生命を奪うことはしてはいけないこと。単純な、とても今更なことです。しかし難しく、それを安直に答えとしていいかどうかは分からない。私自身も言い切れない所です。この話を突き詰めれば死刑制度はどうなるのという話にもなりますよね。単純に殺人はいけないと捕まえた被疑者が死刑になることは矛盾ではないのかと。一人で殺さずに集団で殺せばそれは正当化されるのか。いや私は死刑制度必要派ですけどね。悪人が殺人を犯した、死刑になって死んだ、そこまで悪くない人が殺人を犯した、情状酌量で懲役8年になって生きた。別にそれでいいとは思いますが、正義とは結局恣意的な側面から離れられないのだなとも思います。
 福家の言う事も結局とても不確かな決意で、一つひとつ憎しみから守ります、守りたいんですという言葉は願いを口にしているだけに過ぎない。これまで解決してきた事件もそれによって何かを救ったと言えるのかどうか。殺意を抱いた自分の、それでもどうしても行動に移せなかったというその“正しさを許される事実”に縋っているだけではないかとか。
 色々穿った見方をしてしまえるんですが、その上で福家の人間性を好ましく思います。必死に訴えかけるいじらしさにちょっと涙が出てくるような。

 そして、娘に挨拶をしてくるという夫婦は、二度と戻ってくる事はなかったのですが。これも最初から決めていたことだったんでしょうね。元々二人は娘を愛する普通の人だったんです。酷い犯罪者を、それもまた罪と知りながら殺していく中で、自分たちも最後は同じ報いを受けるべきだと。それはきっと、娘を奪われた時に同じ痛みや苦しみを男に味あわせてやりたかったという思いから来たものだったのかななんて。
 福家が出来たことは、二人の罪を終わらせること、それだけだった。でも実際足も悪くて、高齢で…二人がそのまま出頭して待つ未来ってどんなものだったんでしょうね。福家はどうあれば満足出来たのかな。答えの出ない問いのような気がします。

 警部は今回の始め、福家を警部として自分の後任に推薦する書類を手渡しました。福家が戸惑う中、机の上のメモにある名前に目を止め、知っているのかと問われると「僕が警察官になって、警察という組織の持つある種の限界というものを痛感した事件です」と。
「そして、僕が上を目指す理由でもある」「君もそうするべきだ」強い口調で言い切る警部。
 福家は答えを出さないまま老夫婦と話を続け、再び書類を催促された時、「どうして私を昇任させたいのですか」と問いかけます。
「警察という組織を変える必要があるからです。何かを変えるためには、上に立つ必要があるんです」
「私には、その資格がありません」
 憎しみに囚われた相手に、答えることが出来なかった。私は警察官として失格なんです、と言う福家に目を伏せ、静かに諭す警部。
「君は過去に、いくつもの地獄を見てきたんでしょう。だからこそ出来ることがある。やるべきことがある……違いますか」
 この言葉は、激昂した時の言葉と似ているかもしれません。自覚しろと、すべき事をしろという。
「あるいは僕の、見込み違いだったのかもしれませんね」冷たく言って、背を向け去ろうとする警部。クールです。
 そんな警部を「警部!」と呼び止め「警視と呼んでください」と突き放すように言う警部も超クール(警視と呼ばない)
 そして偶然に見つけたもう一人の同乗者の存在に、現場へ急行する二人。
 協力して捜査してる感が出ていて何だか感動的です。警部と呼んだ後に言い直そうとする福家に「どっちでもいい」と車に乗り込むシーンとかいいコンビ。
 爆破を阻止し、老夫婦の家に赴いて、福家の話を聞き…錯乱状態で火の中へ入ろうとする福家を叱咤し止めて。

 福家が目覚めるまで病室で待っていた警部は、「あの夫婦は」という問いに首を振って答えます。
 呆然と視線を落とす福家に、無言で眼鏡を差し出す警部。
「前に言った、君の昇任の件ですが。僕の方から断っておきました」
 椅子に座り、真っ直ぐ目を見つめて言う。
「目指すものは同じでも、君には君自身の道がある。……そうですよね」
 唇を震わせ、その目から視線を逸らしてしまう福家。結局死なせてしまった老夫婦。これまでで一番、無力さに自身の正義が揺らいでいるその姿を、立ち上がりしっかりと見据えて警部は言います。
「これからも頑張ってください。福家警部補」
 背を向けコートを手に持つ警部の背中にかかる「はい」という細い声。
「わかりました」という涙声にその姿を一瞥して、警部は部屋を出て行く。
 後には悔しさに顔を歪め涙を流し、一度強く机を叩く福家。そしてEDへ。
 
 もうね、こんな終わり方をするドラマってあんまり無いと思うんですよ。ハードボイルド過ぎだよ!!!大好きだ!!!!!!
 福家と警部の関係はアレですね、踊る大捜査線の青島と室井さんみたいですね最終的に。それぞれの道で事件を解決していこうという。
 福家は叩き上げのノンキャリである警部からすれば羨ましくて仕方がないような経歴を持ちながらわざわざ一課に来た人で、正しい事をするには偉くならなきゃいけないを地で考えている警部にとっては非常に不可解な人種です。能力も認めた、情熱も認めた、キャリアもある、なら上に行けと背中を押そうとしたのは警部にとっての正義感ですらあるでしょう。
 老女の指摘した「あなたたち組織が守ったのは規則や法律で、私の娘ではなかった」という現実を、警部は組織自体を変える事で変えて行こうとした。福家は組織に囚われず、一つひとつ掬い上げていこうとした。
 根本的で、より多くの人を救うために必要なのは警部のしようとしていることです。それをすべきだという信念は全く揺るがない。
 それでも、警部は福家のやり方を認めてくれました。その上で、「これからも頑張ってください」と言ってくれた。
 一番自信を無くしたこのタイミングでそれを言ってくれる警部のありがたさがね! 器のデカさがね!! イケメン過ぎる!!!警部大好き!!!抱いて!!!!!!
 頑張ってくださいの返答が「はい、わかりました」なのもね。もらった勇気ですよ。福家さんは警部が上司で良かったねほんとにね。
 頑張りますって言うしかないもの。結果論は正義じゃないとしたら、それだけが正義なんだろうなと思うし。辛いけど、まあ警部も福家もお互いくぐった修羅場の数がすごそうだから、上と現場でお互いこれからも切磋琢磨してやっていくんじゃないのかな。
 いやーなんか結構いいですよねこの二人。「付き合ってるんですか?」と結局二岡くんは訊けませんでしたが、訊いてたらどんな反応したんでしょう。いや確実に警部と同じく「はぁ!?」でしょうけど。しかしそこがまた。

 しかし渋いドラマでした。なんかこう多くを語り過ぎないところが。あと媚びがない。
 石松和夫というキャラクターは振り返れば結構クールボケキャラでしたが、芯を持った非常にカッコ良い人物でした。このドラマに出ている吾郎さんを見れて幸せです。
 二ヶ月ちょっと、楽しませて頂きました。面白かった!ありがとうございました!
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